養老孟司の<逆さメガネ> 養老孟司著

養老氏の本はここでは紹介していませんが「バカの壁」を読んだことがあります。
もう数年前なので内容はあまり覚えていなかったのですが、現代社会と人のありようを考える内容だったと思います。

今回の逆さメガネも同じような感じなのではと思いました。
やはりいろんな角度から物事や社会を考え、行動し生きていかねばということでしょう。
当たり前だと思わずメガネを逆さにするようにして見てみることも必要だと言っています。

自身の体験から大学紛争、母子家庭、戦前戦後を知っていることをふまえて教育論を展開されています。

情報にまみれインプットばかりの生活をしている現代人。
アウトプットとくに体を動かすアウトプットを心掛けインプットとアウトプットの循環を生むようにしようといっていました。脳の研究者らしい言葉です。

「心に個性がある」のではなく「体に個性がある」という主張は少しわかりにくいのではと感じました。
人によって考え方が違うのは、心が違うのではなく脳という「体」が違うからだということだそうです。
心は人が持ちえる共感性ととらえているようでした。心=思考と考えがちなので心に個性があると思いがちですがそうではないといっています。

あと、会社による合理化とされるリストラによる人員整理は社会全体からは非合理なシステムと言っています。仕事できない人も周りに優越感を与える役割をにない役立っているという記述は面白かったです。それで共同体システムがうまく機能しているということです。