「7割は課長にさえなれません」 城繁幸 著

読書感想です
「7割は課長にさえなれません」終身雇用の幻想。えらく直接的なタイトルです。
 
著者 城繁幸さんの本は2回目です。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluedragon19720107/35684002.html

前回と同様、著者の城繁幸さんは頭のよい方という印象を持ちました。
東大でているだけあります。

この本は、現在の一般的な日本人家庭の架空の家族をそれぞれの雇用形態にあてはめ、
織り交ぜながら進んでいきます。

著者は一貫して古い体制の日本ではどうしようもなく、変わらなければ未来がないといっています。
終身雇用、年功序列はもう既得権益を守っている人だけのものだといっているようです。

城氏は
「大企業の正社員同士(経営、管理職と管理職ではない社員)の労使のことが雇用問題でとりあげられているが、もはやそういう問題は茶番的で正規社員と非正規の格差のほうが問題」としています。

労働市場の流動化が日本の進むべき道といっています。

まとめるのが難しいので各章のタイトルとタイトルごとの感想を紹介します

第一章 「年齢で人の価値が決まってしまう国」感じたことは
新卒カードや35歳転職限界説があたりまえの国だと衰退すると思います。なぜそういう採用を企業は続けているのでしょうか。
人件費かかるから本当は誰も雇いたくないんでしょう。ロボットがいいと思っているように思うことさえあります。たとえ新卒でも、中途でも本当は35歳でもいらないと考えているか、本当に業績悪すぎて人を雇えないのか人を雇う側でないのでわかりません。
著書の記述内容から脱線して、転職活動していて感じるのは、ずーと買い手市場なので大手は求人内容に対してありえないほどベストマッチングな(企業にとっての)スーパーマンを求めているか、中小企業は平気で劣悪な条件の求人で人が来ないと嘆いている感じがします。

第二章 「優秀な若者が離れていく」
このような状況だと仕方ない気がします。

第三章 「弱者が食い物にされる国」
非正規社員の退職金、福利厚生分の金額、保険料などはどこへ行ったのですか?正社員じゃないからもらえない理由がありません。同じように働きましたよね。日割りにして支払ってもらいたいと思うんではないでしょうか。パートだからとか正規社員の勤務日数に達してないから保険かけれない理由がわかりません。どういう法律ですかね。

第四章 「雇用問題の正しいとらえ方」
前述に触れたように正規社員を守ることは弱者を守るようで実は錯覚でしかないといっていたと思います。このポイントは城氏はかなり重要視しています。同じような不公平社会をなんとかしたいと考えている人と見解が違う人がいるといっています。

第五章 「日本をあきらめる前に」
この章がないと未来がありません。雇用流動化後の理想的(?)な状態を前述の架空の家族に当てはめて想定しています。凝り固まった雇用でなく柔軟になって活動的で活性化した状態を描いています。


おおむね賛同しました。

ひとつ気になるのが、上部の既得権益者だけ固定されたままで、中流以下が流動化して、一億総中流が一億総やや中の下流下流の人をひとまず中の下流まで押し上げて、中流の人を中の下に押し下げて、不満や暴動を押さえ、生活保護支給をぎりぎりわたさないという社会になってしまわないようにと思います。上部の既得権益をもっている人は最後まで死守しようとすると思います。
このように書くとこの本を読んでなぜそう考えるのかと著者にいわれそうですが、流動化失敗するとこのような可能性もあるのかと思った次第です。流動化で能力や成果によって雇用がもっと適材適所で有用に使われれば、中流の下で留まることはなく上に上がれるということだと思います。


そのようなリスクがあっても、でも流動化のほうが可能性は広がると私も思います。

※総括とは別に、城氏は労働市場の流動化が活発になれば直接雇用になり派遣会社が衰退するといっていたと思います。前回記事で紹介した「働くって何だ。30のアドバイス」の著者森清氏は雇用がゆれるこの時代だから派遣会社など伸びていくのではと述べていました。また、脳科学者の養老孟司氏は能力がなく会社にも役立っていないようにみえる人も他の人に優越感をあたえるという役目をになっているのですぐリストラというよう発想はいかがなものかといっていたように思います。この三者は意見が食い違っている例と出したのではなく、いろんな見方があるという意味でだしました。能力のない人が既得権があるだけで高給取りで良いとは養老氏も言ってないと思いますし、城氏も能力がないものは下流のままでいろといっているわけではなく、どんな人でも能力の発揮できる分野や仕事がありそれを流動化によってめぐり合える確立が格段に上がるといいたいのではないかと思います。

今回長くなりました。


※さらに城氏のブログです。http://jyoshige.livedoor.biz/
今回の記事とは関係ないですが、城氏はTPP参加はあたりまえで議論していること自体どうかといっています。私の感覚ではTPPはテレビ、新聞は中立風であるが最終的に賛成に。ネットの素人たちは反対。農家の人たちはよくわからないけど不安、反対運動に参加しなければならないだろうか?どうしよう。
といったかんじでしょうか。個人的な感覚です。