「世界を知る力」 寺島実郎著

久しぶりに読書感想テーマです。
いろいろと世界の中の日本を考えさせられることが多くなってきていると思うので読んでみました。
寺島氏は多摩大学の学長のようです。気付かず読みました。今年になってからの本で新しめです。

内容的には
・ロシアとの関係がアメリカのペリーが来た時よりもずっと前に始まっていてわりと「おおごと」だったこと。よく考えれば大陸の位置的に当たり前だが、黒船が来たときのほうが衝撃度が大きい印象を日本人は一般的に思っているのではないだろうかということ。

・中国とアメリカとの関係が意外と密接で今の中国以前の中国(太平洋戦争・大東亜戦争時の連携を例に出し)とはもっと関係よく親密だった。これも現代の日本人一般的なイメージとして両国は特に親密でもなく、特に友好的な間柄でないというイメージをもっているが歴史的な経緯をふまえて考える必要がある。

・また中国人は中華人民共和国だけでなく中華民族として台湾やその他世界に散らばっている華僑的な人々を含めた、発想で考えている面があるということ。

・イギリスの影響力とロンドンからのネットワーク(ロンドンードバイーバンガロール・インドーシンガポールシドニー

ユダヤネットワークの存在。高付加価値主義。

アメリカ合衆国の目指している方向(グリーンニューディール)やITによるパラダイムシフト(環境やシステムの大変換?)

以上をふまえて
「世界を知る力」のつけかたとして
・今までのアメリカのフィルターを通してのアメリカ頼りの情報収集をやめる

・独自情報収集のため世界レベルのシンクタンクと通信社の必要性(新華社、ロシアのイタルタス通信、イギリスのロイター、アメリカのAP通信に負けない。現状は日本の通信社の特派員の数だけでも桁が違うそう)

・インターネットも必要だが古本屋や街に出てみる情報収集も必要

要約するとこのような感じで読みごたえはありました。内容が固い割には難しい感じはなく読みやすく、ロシア中国アメリカの意外な関係や見落としていたことなど発見や再確認ができたと思います。ユダヤ人の高付加価値主義も国土がないが故の生き延びる知恵であり、技術力で伸びてきた日本人と少し似ていますが、資源にめぐまれなくても国土があり、水資源やほか実はいろいろ恵まれているのでまだまだ甘い考えで国際的なしたたかさは持っていないと感じました。

全体を通しても著者は悲観的でもなく日本の可能性も記述していました。
あと韓国との関係性や、アラブやイスラムの内容が少なかったですがそれまで入れると内容的にてんこ盛りなのでこれぐらいでいいと思います。